日記

続:見積・請求・消費税

投稿日:2014年5月6日 更新日:

GW最終日いかがお過ごしでしょうか?先日の記事、それなりの方にお読みいただいて、色々とご意見を頂きました。

「本当に手持ち資産だけでほぼ開発できるの?」

「でもやっぱり消費税を懐に入れるのはおかしくない?経費なんて殆どかからないんでしょ、それなら預かり消費税のほとんどが懐に入るんじゃない?」

「1日5万円も請求できるの?」

「わかるわかる、法人のシステム開発会社はボッタクリが多いよね・・・」

個別にコメントするの良いのですが、折角だからネタにさせて下さい。

 

「本当に手持ちの資産だけでほぼ開発できるの?」

過去に開発を依頼した内容を考えてみてください。何かを作りたいと考えた時に、全く新しいアイディアのシステムを開発依頼したことがありますか?特殊なビジネスロジックなどはお客様固有のものになりますが、殆どの場合すでにある資産だけで対応可能です。

WEBシステムは細かく分けると複雑ですが、基本的に、データを入力する・データを登録する・データを閲覧する・データを集計するの4つの要素の組み合わせで構築されます。お客様ごとに異なるのは、取り扱うデータの項目が異なるくらいでほとんどが同じような仕組みの組み合わせです。おかげさまで、求人サイト、ECサイト、不動産物件サイト、社内業務管理システム、動画サイト、各種ポータルサイトなど、多くのサイトの構築のお手伝いをさせていただきましたが、ここ1年で新しく構築したロジックは数えるほどしかありません。

 

少し話題を変えて、一般的なWEBシステムの構築を請け負った場合、実際の開発では

  • ヒアリング
  • 設計
  • 開発環境構築
  • フロントエンドのデザイン
  • フロントエンドのシステム開発
  • フロントエンドのテスト
  • バックヤードのデザイン
  • バックヤードのシステム開発
  • バックヤードのテスト
  • 総合テスト
  • 本番環境構築
  • リリース作業
  • お客様による受入テスト
  • ローンチ

と言った流れで開発を行いますが、手持ちの資産を流用できるのは「フロントエンドのシステム開発」「バックヤードのデザイン」「バックヤードのシステム開発」の3つになります。また、先日の記事の「労働集約型」「知識集約型」分けると、「ヒアリング」「設計」「フロント/バックのシステム開発のうち手持ち資産がない機能」が知識集約型になり、その他は基本的に労働集約型になります。

つまり、多くの経験があるシステム開発会社が構築を手掛ければ、開発工程のほとんどが労働集約型の作業になると考えています。

発注いただいたお客様に競合のお見積りを見させていただくことがあります、その多くが、すべて知識集約型の単価と思われる金額で見積もられていることが多いです。

 

「でもやっぱり消費税を懐に入れるのはおかしくない?経費なんて殆どかからないんでしょ、それなら預かり消費税のほとんどが懐に入るんじゃない?」

IT系の開発では、原価の多くが人件費のため、フリーランスは売上のほとんどが利益になることが多いことは否定しません。それでも、刻々と変わっているソフトウェア環境のバージョンアップ、低スペックのPC修理費を利用した作業効率の低減を解消するためのPC購入、検証用に必要となる作業では使わないハードウェア、他にもお客様先に訪問する際の交通費や開発用サーバなどの開発環境の維持費、水道光熱費、通信費、かかる経費はそれなりにあります。他にも、営業活動費、各種税金や健康保険などの各種コスト、他にも当然外注費や総務・経理関連の事務作業費などを売上の中から確保しようとすると結局手元に残る額は・・・って感じです。

人によって判断は異なりますが、基本的には請求させていただくのが正しいと思っています。

 

「1日5万円も請求できるの?」

多分、先日の記事の「フリーランスの方はいいよね、日単価5万円で仕事請けおったら月収100万だもんね」という部分と読まれで、コメントを頂いたんだと思いますが、5万円なんてそうそう請求できませんね。個人的にはそれくらいいただけると嬉しいですが・・・見積上は平均3万円強で実際に作業をして最終的に計算をしてみると3万円弱になることが多いです。(見積が甘いんですよね・・・)

 

「わかるわかる、法人のシステム開発会社はボッタクリが多いよね・・・」

本当にそうでしょうか?ものを買うときに事前に何も調べずに買うことがありますか?システム開発を外注する場合、発注側の調査不足は否めないと思っています。当然、受注側の説明も不足しており、中にはぼったくりもあると思っています。

30万円(世の中で言われている平均的な価格)でホームページ(コーポレートサイト)の制作を依頼される場合、1人日3万円と考えると概ね10日間の作業時間を買うことになります。10日間(80時間)で何ができますか?細かく作業を分割して考えてみます。

  1. 提案書を作成するための事前ヒアリング
  2. 受注するために提案書等を作成
  3. 見積書を作成
  4. 各種受発注手続き・契約手続き
  5. 詳細ヒアリング
  6. ヒアリング内容の取りまとめ
  7. ワイヤーフレームやサイトマップなどの仕様書等の作成・修正・確定
  8. デザイン案の作成・修正・確定
  9. HTML等コーディング
  10. 問い合わせフォーム等システム関連開発
  11. 動作・表示確認
  12. 確認用環境へのリリース作業
  13. お客様による確認
  14. 本番環境へのリリース作業
  15. 検収
  16. 請求書の作成
  17. 入金確認

すごくざっくり上げただけでもこれだけの作業があります。各作業で作業時間にはばらつきがありますが、すごく乱暴に平均を出すとひとつの作業項目で5時間程度の作業時間しか無いことになります。これで本当に欲しているホームページが出来上がるでしょうか?

この金額を見てぼったくりなのか、高いのか、安いのかはそれぞれの判断で、発注側は安ければ安いほどよいと考えるのはアタリマエのことです。

私自身も新たな外注先を探す際にはなるべく安いところと取引しようと考えますが、あまりにも安い見積もりを出してくる会社には必ず質問することがあります。「依頼する作業量は○○人日程度と想定してるけれど、どのくらいの作業量を見積もってます?」「今回のお見積りは御社の標準価格ですか?特別な値引きや配慮がありますか?」この2つの質問をすることで、見積の妥当性を判断しています。

発注側はわからないからと丸投げにするのではなく、実際の作業内容に照らしあわせて妥当な見積なのかを考える必要がありますし、提案側もざっくりとした見積を出すのではなく、ちゃんと説明できる内容の見積もりを出すべきだと思いますし、ちゃんと説明をして納得していただく努力が必要かと思います。

中には、受注するためにとにかく安い見積を出し、明らかに赤字で受注する会社もあります。人を余らせていても仕方ないので少しでも売上を上げるために安い見積を出すこともあるでしょう、初回取引でどうしてもその会社と取引したいから赤字で見積もりを出すこともあるでしょう。1円入札のように保守費で儲けるから初期導入費は赤字でも良いという見積も存在するでしょう。その会社の方針ですから否定することはしませんし、間違っているとも思いません。

ただ、体力のある大企業であれば、赤字見積でも問題無いと思いますが、小さな会社の場合「赤字見積もり」=「どこかにストレスがかかっている状態」だと思っています。例えば、従業員に多大な残業をさせているとか、どこかで手を抜いて作業をするとか・・・見積を誤って、作業時間が増え最終的に赤字になってしまうことは受注側の能力不足だと思いますが、最初から明らかにおかしい見積りを出すところは取引先として適切で無いと考えています。

大変嬉しい事に、私がお取引させて頂いている会社様はこんなことはないですが、このような会社が多いのも事実です。このような会社が徐々にブラック企業と言われるようになるのではないでしょうか?相手が赤字でも問題ないよ!我が社だけ儲かれば・・・ゆくゆくは開発した会社がなくなり、メンテナンスが行き届かずに自分自身が困るという事のないように「ボッタクリなのか」「安すぎはしないか」適切な判断が必要だと思います。

 

また、かなりズバッと書いたので、敵を作ったり、お客様を減らしたりする内容の記事ですがGWですので・・・

炎上マーケティングではないです(笑)

明日からまた通常業務に戻ります、色々と反響がありましたので、この件についてはまた記事にしたいと思います。

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